2011年3月9日水曜日

WHOナンバー2は素敵な女性でした

3月8日は「国際女性の日」。 (そんな日があったのだと初めて知った、勉強不足な私…)
制定100周年にあたり、大学が主催したセミナーのメインゲストは、
WHO(国際保健機関)事務次官補で、女性と子供の健康問題に取り組んで来られた、
Dr. Flavia Bustreoでした(公式プロフィール)。

講演のテーマは『21世紀における女性と子供の健康』

2000年に採択された「ミレニアム開発目標」では、
2015年までの努力目標の一つとして、
「乳幼児死亡率の削減」(第4条)、
「妊産婦の健康の改善」(第5条)が掲げられています。
WHOの取り組みと、目標に対する進捗状況についての報告が行われました。

本来は治療可能な状況で、毎日1千人の妊産婦、1万人の乳幼児が命を落としています。

その原因は国ごと、国の中でも社会階級ごとに大きく異なっていますが、
WHOは、、基礎的な周産期医療と教育機会を提供することで、
死亡率を低下させ、母子の健康状態を改善する取り組みを行っています。

Dr.Bustreoが、今後の大きな課題として取り上げたのは、
「働く女性の健康と権利の保護」でした。
特に、
①妊産婦の解雇、
②妊娠中や出産直後に不当な労働状況に置かれる、
③職場復帰後に十分な仕事を与えられない、
という状況を、女性と子供の健康を脅かす問題として提起していました。

これは、日本でも大きな問題です。
産休・育休の取得ができないで仕事を辞めざるを得ない女性。
不当に長い労働時間で、妊娠中・出産後に健康状態が悪化する女性。
そして、悪影響を被る子供と家族。
とても他人事とは思えません。

ところで、Dr. Bustreo、WHOナンバー2ということで、
バリバリのこわーい女医さんを想像していたのですが、
とってもチャーミングで素敵な女性でした。

厳しい質問がフロアから飛んでも、ずっと口角が上がっている。
エレガントだけれど、自分の主張をきっちり通していきます。
イタリア女性の鑑。

セミナーが始まる前に、教授だけではなく、学生とおしゃべりしています。
セミナー終了後、わざわざ歩み寄って話しかけてくれました。
御礼を申し上げて自己紹介したところ、
「WHOでは、医療と経済が判るエコノミストが必要なのよ。
 一緒にこの問題に取り組みましょう」と、
にっこり笑って、握手してくれました。

初対面の人でも魅了し、巻き込んでいくパワーに、完全に脱帽でした。

Dr. Bustreoがセミナーに引用された言葉をご紹介します。
セミナーの司会を務めた、Julio Frenk教授(元メキシコ保健相)への謝辞が込められてもいました。

『子供たちが幼いうちに亡くなり、
 母親たちが新たな命を産み出す際に命を落とすような国では、
 不公平が生まれる』

"In countries where children die early and mothers die in the act of giving life, injustice breeds" (Dr. Julio Frenk)

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